「ありがと……悠里……」
「まぁあたしも、颯真くんの気持ち知ってて知らないフリしてたわけだし……おあいこかな。」
「えっ?」
ボソッと言った悠里の言葉が上手く聞き取れなくて。
思わず聞き返したけどーー
「なんでもない」
と、悠里は笑うだけだった。
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ーー…
「お邪魔しました……
ごめんね、悠里。
病み上がりだったのに。」
外が薄暗くなった頃、わたしはマンションの外へ出る。
辺りは、初夏らしいジメッとした空気に覆われてる。
「ほんとだよ。
これでまた熱が上がったら、明里のせいだからね。」
……あれ?
悠里ってこういうこと言う子だったっけ……。
そんなわたしの心情が悠里に伝わったのか、
"ちょっとくらいの意地悪発言、許してよね。"
と、意地悪く悠里は笑った。
「……悠里の両親は?遅いね?」
「あー……
たぶん、悠太くんの家かな。」
「え……?悠太くんの……?」
思わないところで出た、悠太くんの名前。
その名前に、わたしの胸にドクッと音がした。
「あたしん家、今でも家族ぐるみで仲がいいから。
この前悠太くん家が旅行に行ってきたみたいで。
そのお土産を、もらいに行ってる。」
「あ……そうなんだ……」
そういうところは、わたしと颯真の家と変わらないみたい。
「………………」
悠太くんは、今何を考えてるんだろう。
"夏祭り、約束した場所で待ってるから"
(悠太くんとも、ちゃんと話をしなきゃ……)
夏祭りまでーーあと5日。
