不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~





うつ向いたままの悠里の表情は、わたしからは見えなくて。





わたしに向けられた悠里の手だけが、少し震えていた。





「ゆ、悠里……?」





嫌われてもしょうがないと思うほど、悠里からの罵倒を覚悟してたわたし。





あの頃の、悠里を応援する気持ちは嘘じゃなかったにしろーー





自分の身勝手な想いで、
今さら"応援できない。相談に乗れない。"なんて。






きっとわたしが言われる立場だったら、平手打ちの一発でも与えたくなる。





それぐらいの覚悟で、悠里に颯真が好きと伝えた。





だけど、目の前の悠里は………




「……っ……

あたし、怒ってるよ。」





「……うん。」





「明里のウソつき。

今まで、そんな素振り見せなかったくせにーー
今さらそんなこと知らされるあたしの身にもなってよ。」




「…………うん」






「颯真くんの幼馴染みの明里だったから、相談したこともたくさんあったのに。

颯真くんの好きな料理とか。趣味とか。
好きなタイプ……とか。

あたしがバカみたいじゃん……!!」





「……っ……ごめ…………」





「ーーー………

………辛かったでしょ?」





「……え?」





いつの間にかうつ向いてしまっていたわたしは、悠里の言葉に思わず顔を上げた。





悠里も、わたしをじっと見ていてーー




その瞳は、また更に赤くなっていた。





(悠里、泣いて……?)





「あたしっ……
明里がすごい腹立つよ……!!

今まで颯真くんのこと好きだったくせに、それなのにその気持ち押し殺してあたしの背中押して。
悠太くんとも順調だって言ってたくせにーー
今さらやっぱり颯真くんが好きだなんて。」





悠里は、半ば衝動的に声を荒げながら、目に涙を溜める。





「だけど明里は、あたしの相談に、すごく真剣に乗ってくれてた。
本当に、あたしのこと応援してくれてた。
伝わって来てた。

それがすごく嬉しかったし、その頃の明里の本当の気持ちだったと思うからっ……

だから、明里のこと恨みきれないし、その時の明里の気持ち考えたら、辛かっただろうなぁって思ってきて……」




「………悠里………」





「だから、明里なんて嫌いだって思いたいけど、そんなことも思えないしっ……
今さら颯真くんが好きなんて、身勝手だって思う気持ちと、辛い思いさせてごめんって思う気持ちもある……!

もうっ……自分でも何言ってんのかわかんない……!

もう心んなかぐちゃぐちゃだよ……!!」





そのまま、悠里は両手で顔を覆ったまま顔を伏せた。




そのまま肩を震わせる悠里は、しばらく涙を隠しきれなくて。




何か言いたいと、そう思っていてもーー
今、口を開いたら、全て言い訳染みた言葉になってしまいそうだったから。





わたしは何も言えず、そのまま悠里の傍にいるしかなかった。