それからの幼い俺は、行動が早かった。
「……お母さん。」
「んー?」
「僕、習い事始めたい。」
「おー?なんの?」
「……空手。」
ガキな俺の、安易な考えだったと思う。
あれだけ体を動かすのを嫌ってた俺が言った言葉に、母親がキョトンとしていた顔は、今でも覚えてる。
空手なんて、ただケンカが強くなりそうだってイメージで言っただけで。
慌てた母親は、俺の話をじっくり聞いてくれた。
そして、母親はにこっと笑って。
「やる気になったのねー!
えらいえらい!!
でもね颯真。
急に始めたって、続かないと意味ないのよ?
だからまずは、身近なものから。ね??」
それから俺は母親に言われて、まずは小学校のクラブ活動を変えた。
そこで俺は、サッカーを始めた。
初めはボールを蹴ることさえ空振りばっかりで、周囲の同級生に笑われて。
他の奴らと違ってあまり外で遊ばなかった分、体力もなくて。
それでも必死にボールを追いかけたら、どんどん上手くなって。楽しくなって。
気がついたら、中学でもサッカー部に入りたいと思うほど、のめり込んだ。
「颯くん、上手になったね。」
月日はあっという間に経って、小学6年生のある日、明里にそう言われた。
「そうか?
俺としてはまだまだだけどなー。
だから、中学はサッカー部に入って、
キャプテンになってやる。」
いつの間にか、近所のやつらのいじめの対象になることはなくなっていた。
むしろ、他にいじめられてるそういう奴らを見たら、無性に腹が立って、思わず仕返しをしたことだってあるほど。
「なんか……強くなったし。
もうわたしの助け、いらないね?」
「そ、そんなの、最初からいらねーよ!!」
そんな言葉は、過去に弱かった俺の、精一杯の意地だった。
