皆さん、どうもこんにちは。私、上橋水季(あげはし みずき)と言います。一応高校一年でキャピキャピ時代のはずなんですが…なぜか帰り道、目の前にイケメンさんが転がっていました。キャピキャピどころではありません。

「えっと…起こすべきなのか?お、おーい。」

…全く起きる気配なし。これは身体を揺すって起こすしかないのか?いやいや、でも触るの?あのイケメンさんに触れるのか、私。うん無理だ。よーし、私に出来ることはもうやり遂げた!帰ってもいいよな!返事は聞いていないけどね。

「…んっ、…あれ?ここどこ?」

ぎゃああああ!!このタイミングで起きるか!?別に乙女ゲーム的シチュエーションは望んでないよ!むしろギャルゲーシチュのがいいよ!じゃない!!

「あんた、誰?」

「初対面でその口の聞き方は無いだろう。」

「ああ、そっか。ま、よく分からないけど…俺の事、起こしてくれてありがとうな!」

イケメンさんがニッコリと天使のような笑みを浮かべると、私は思わず……鳥肌が立った。

実は私はイケメン恐怖症なのです。だってイケメンって怖いじゃんか!だから皆がアイドルで騒いでることすら私には理解し難いんだよ!歌って踊れるPCの中のあの子で十分じゃん!可愛いじゃん!あ、もしかして二次元と三次元ってだけの違いか。わーい、私ってば天才!…話がずれました、ごめんなさい。

「えっと…話聞いてるか?」

「へ、あ、聞いてますよ?おほほほ。アラヤダ、モウコンナ時間。早ク帰ラナイト怒ラレチャウワ。」

取りあえず、このイケメンとは一緒にいたくない。私のHPが0になる前に逃げなくては。そう考えると私はナイスな演技をして、その場から逃げた。

「……面白そうなの、見ぃつけた。」

一瞬だけ、そんな台詞が聞こえた気がするが気のせいだと信じたい。何故なら私は断じて普通の高校生で面白くなどないからだ!そうして無事家に帰ることが出来た。HPは辛うじて残ってるような感じだけどな。まぁ、平和に一日を終えることが出来て良かったよ。そんなことを思いながら、私は夢の世界へと向かった。つまり寝た。


…次の日から、悪夢が始まるとも知らないで。