「遅くなってすみません。
なんのお話をされているんですか?」
雪君はにこっと微笑んだ。
今の……聞いてなかったのかしら?
真紀さんは気まずそうな顔で、雪君から目をそらす。
雪君は昨日と同じような白いカッターシャツに、黒いズボンという服装に着替えていた。
その中世的な雰囲気のせいか、男装の麗人のように見える。
雪君に今の会話の内容を話すわけにいかない。
いい思いをしないことは分かっている。
わたしは必死に頭を働かせた。
「あの……女同士の話というか……」
だめだ。
わたしは上手な嘘がつけるほど器用じゃない。
軽く自己嫌悪になりかけたけど、幸いなことに雪君はそれ以上聞いてこなかった。
「お邪魔してすみません。
あの、もしまだお話しされるようでしたら、案内はまた今度にしましょうか?」
雪君はそう言ってくれたが、真紀さんの様子からして早くここから立ち去ったほうが良さそう。
わたしが口を開くより先に、真紀さんがすっと立ち上がる。
「蜜花ちゃん、また今度ゆっくり話そう。
わたし、喉乾いたから食堂にいってくるわ」
そういって軽く手を振った後、真紀さんは足早に食事部屋に向かって歩いて行った。
「すみません。邪魔してしまったみたいで」
真紀さんの後ろ姿を見送っていると、雪君が申し訳なさそうに謝る。
その顔からは、先ほどまでの異様な雰囲気はない。
わたしの中の後ろめたさが感じさせたものだったのだろうか?
「ううん。気にしないで。えっと、じゃあ、お願いします」
なんのお話をされているんですか?」
雪君はにこっと微笑んだ。
今の……聞いてなかったのかしら?
真紀さんは気まずそうな顔で、雪君から目をそらす。
雪君は昨日と同じような白いカッターシャツに、黒いズボンという服装に着替えていた。
その中世的な雰囲気のせいか、男装の麗人のように見える。
雪君に今の会話の内容を話すわけにいかない。
いい思いをしないことは分かっている。
わたしは必死に頭を働かせた。
「あの……女同士の話というか……」
だめだ。
わたしは上手な嘘がつけるほど器用じゃない。
軽く自己嫌悪になりかけたけど、幸いなことに雪君はそれ以上聞いてこなかった。
「お邪魔してすみません。
あの、もしまだお話しされるようでしたら、案内はまた今度にしましょうか?」
雪君はそう言ってくれたが、真紀さんの様子からして早くここから立ち去ったほうが良さそう。
わたしが口を開くより先に、真紀さんがすっと立ち上がる。
「蜜花ちゃん、また今度ゆっくり話そう。
わたし、喉乾いたから食堂にいってくるわ」
そういって軽く手を振った後、真紀さんは足早に食事部屋に向かって歩いて行った。
「すみません。邪魔してしまったみたいで」
真紀さんの後ろ姿を見送っていると、雪君が申し訳なさそうに謝る。
その顔からは、先ほどまでの異様な雰囲気はない。
わたしの中の後ろめたさが感じさせたものだったのだろうか?
「ううん。気にしないで。えっと、じゃあ、お願いします」
