多分それはあの飛行機のおもちゃに巻かれていたものだ。

シゲさんは先ほどまでとは一変して、かなり興奮気味に腰に差していた懐中電灯を取り出した。

三本ある。


「このモグラの穴みたいな中にな、お前達が探してるもんを見つけたんだ。

一緒に来いよ、快」


「探してる? なんのこと、シゲちゃん」


しかしシゲさんは意味ありげに口の端を吊り上げ笑うだけ。

なにも答えない。

快さんは初ちゃんとわたしの顔を見回した後、シゲさんの懐中電灯を手に取った。


「行くよ。初、お前は蜜花ちゃんと一緒に……」


「わたしも行きますっ」


快さんの言葉を遮る。

その場にいた皆が驚いた顔でわたしを見ていたが、ここで待つよりも、自分の自身の手で謎を解明したかったから。

シゲさんが見つけたこの穴。

多分、わたしと椿さんをこの部屋から連れ出すために利用されたんだと思う。

きっと、屋敷の表面だけではわからないなにかが隠されている気がした。

目を細めて大きく頷いた。


「いいぜ。お前も来いよ。その代わり足が痛いとか泣き言いうんじゃねぇぞ」


そういってシゲさんは懐中電灯を投げて寄越した。

その手の上から、初ちゃんは無言で懐中電灯を奪い取る。


シゲさんは満足そうに頷くと、穴にかかっていた木の梯子を指さした。


「これで降りる。いいな。

ようこそ、生贄の巣穴へ」