桔梗さんは頭を抱えたまま後ろに仰け反り、絶叫した。


もう会話ができる状況ではない。

呆然とするわたしの耳元に快さんが口を寄せる。


「ごめん。俺が雪の事はなんとかするから。
君が姿を消してる間に色々あったんだ」


意味深な言葉に怪訝な顔を向けると、快さんは悲し気に微笑んだ。


「本当にごめんね。
俺……蜜花ちゃんがいなくなって、君が犯人じゃないかと、そう思ったんだ」


「わたしが?」


「快……」


初ちゃんが快さんを止めようと割って入るが、それを快さんは押しとどめた。


「初。言わなくちゃいけないんだよ。
蜜花ちゃんに全部ね。

蜜花ちゃん、君が姿を消してから、三時間の間に二人がいなくなった。

一人が雪、そしてもう一人が椿だ」


「椿さんが……」


「うん。そして二人……死んだ」


死んだ?

驚きのあまり声を失ったわたしに快さんは、顔を歪めて頷く。


「一人は叔父が。そして……多恵さんが」