廊下はまっすぐで、庭側には木製の格子がついた窓があり、その反対には一定の間隔で緑色の扉がみっつ並んでいた。

わたしが案内されたのは一番奥の部屋。

緑色の扉に『4』というアルミ製の四角いプレートがついている。

鍵がかかっていないのか、雪君はそのままドアノブを回した。

室内はとても薄暗く、ミントの爽やかな香りがする。

パチッと音がして、部屋の電気がついた。

雪君が扉の横にあった、照明のスイッチを入れたようだ。

モカ色の絨毯に白を基調とした花柄の壁紙。

ベージュのカバーがかかったベットが右側にあり、左側にはアンティーク調の机と椅子がひとつあるだけのシンプルな部屋だった。


「こちらにトイレとバスルームがあります」


ベットの手前にある白い扉を差す。


「反対側はクローゼットです。
クローゼットの中にはドライヤーや鏡がありますので自由に使ってください」


雪君の丁寧な説明を聞きながら、ちょっとわくわくした気持ちで部屋を見回していると、壁にかかるあるものに一瞬で目が奪われた。


そのことに気づいた雪君がそっと近づき隣に立つ。


「それは……柚子さんの作品です」