「土となり、地となる?」



「ええ、だから加岐馬の土は豊かなのだと。

女性は加岐馬の土に興味を持ち、この島に訪れた。だから自らこの地に身をささげたのだと、そう言われ始めたんだです。

しかし、失踪から一年後、女性は意外なところで発見されました」



「意外なところ?」



「はい。それは……」


そこで雪君は一旦言葉を切った。

表情は暗く、とても言いにくそうに口を開く。


「……この屋敷の下です」


「下?」


雪君はわたしの問いかけに答えず目を細め、続ける。


「発見したのは父でした。

畳干しをした時に床板がはがれ、それにより父は地下に大きな穴が開いていることに気付いたそうです」


「大きな穴が……」


「はい。父の両親は兄が生まれた時に相次いで亡くなったのですが、祖父母からそんなものがあるという話を聞いたことがなかったそうで、いつからあったものかはわかりませんが」


「雪君のおじいさんもおばあさんも?」


「ええ。床板がはがれなければ今も気づいていなかったかもしれません」


「でも、どうしてそんなところに女性がいたの? 一体どうやって?」


「その穴はとても深いものでした。底は暗く、上から覗いただけでは見えなかったそうです。
父が女性の存在に気づいたのは、偶然落とした松明がきっかけでした」


「松明……」