「……」
「あ、でも、寂しい思いはしてきたから、これからは一緒に過ごす時間ができるといいなぁ。迷惑?」
二人を見て言うと、鼻声で「迷惑なんかじゃない。ありがとう」と言われた。
ハンカチで目元を押さえる大人二人を前にして、どうしたらいいか分からなくなる。
そこでふと思い出して、普段から身に着けているドッグタグネックレスをシャツの内側から引っ張り出す。
「これ、お父さんとお母さんがくれたやつだよね?施設の前にいたオレが握ってたらしいんだけど」
プレートには、『GAKU.KOIZUMI』と彫られている。
「これ見て園長が、『小泉学』って名前付けてくれたんだ。漢字、『学ぶ』って字であってる?」
「持っててくれたんだね……。そうだよ。『小』さい『泉』に、『学』ぶで『小泉学』だ。園長に感謝しなければな」
お父さんが人好きのする顔で笑う。
「今度一緒に行く?オレ、たまに施設に遊びに行くんだ」
「お邪魔させてもらおうかな」
「ぜひ一緒に行かせて」
二人とも笑みを浮かべて言った。

