宮間探偵事務所事件ファイル 5



「な、なんで……」


「初めて小泉さんがここに来た時、名刺を下さいましたよね。その時、名刺ケースの一番上ではなく下から出した名刺をくれた事。それから、お帰りになる際、ジャケットの裏に『Koizumi』と刺繍が入っていたのを確認させていただきました」


名刺の事を不審に思ったから、いつもはしないのに上着を着やすいように広げたりしたんだ。


……ていうか、小泉って、もしかして……?


「……騙すようなことをして申し訳ない……。中川は、私の大学時代からの友人です。もうお気付きでしょうが、小泉学は、私達の息子です」


「……なぜ中川さんに代わって小泉さんがこちらに?」


ルークが訊く。


「2ヶ月ほど前に、この辺りで若い頃の私に似ている青年を見かけたという話が耳に入りました。そして、調べたところ、実の息子がここで働いていると知りました。


それから優花ちゃんの死体が見つかり、中川に『警察だけじゃなく、探偵にも犯人探しの依頼をしたらどうか』と話をしました。


中川は、犯人が見つかるなら何でもいいと言ったが、とても外に出られる様子ではなかったし、私達も息子会いたさに、代わりにこちらへ。


万が一の事を考えて中川の名前を借りましたが、宮間さんはお見通しだったようですね」


中川さんがもう一度騙す形になったことを謝る。


「いえ、それについては大丈夫です。謝らないでください」


ああ。チンピラ擬きたちは、本物の中川さんの写真か何かを見せられて依頼を受けたけど、車に乗っていた中川さんは実は小泉さんだったから、「コイツじゃない」って言ったのか。