男性に冷たいものを、他の人には温かいものを出す。
男性はお茶を飲み、一息吐く。
お互いの自己紹介は終わっているらしく、テーブルの上には『中川コーポレーション代表取締役』という肩書きと『中川義也』という名前が入った名刺がある。
女性は秘書だろうか。
ソファーに座ったところで、ルークが切り出す。
「では、本題に入ってもよろしいですか」
「……はい。佐倉山で女子大生の死体が見つかった事件はご存じでしょうか?」
中川さんが言う。
「ええ、知っています」
「その女子大生は……私たちの娘なんです」
「えっ……」
思わず声が出て、ルークに睨まれる。

