事務所にいる全員がドアの方を見る。


屈強そうな男が数人。その間から1人の女性が現れる。


「――アタシが雇った人に、この人たちを襲わせたって事?」


「ミサっ!?」


「ミサちゃん!?」


「学の!?」


大竹さん、学、あたしが同時に立ち上がる。


莉央さんは、ノワールを抱いて立ち上がった潤佳ちゃんを自分の背に隠すように立った。


「な、んでここに……」


大竹さんが呟くように言う。


「ご丁寧にこんなもの落としてくれたんだもん。迎えに来てって事でしょ?」


と、ミサさん――学にラブレターを渡したカフェの店員――が紙を床に捨てるように落とした。


ルークの名刺だ。


「あと、盗聴機もポケットに入ってるでしょ?」


その言葉に、大竹さんがスーツのポケットを漁り、黒くて小さい機械を取り出す。


それを忌々し気に睨み付けると、床に落として踏み潰した。


「……み、さちゃん……?」


学が信じられない、といった様子で呟くと、ミサさんはここに来て初めて学に目を止めた。