学がドアを開け、いらっしゃいませ、と出迎える。
入ってきたのは、40代前半のふくよかな体型で人当たりの柔らかそうな顔をした男性と、30代後半の背が高くてスラッとした美人な女性。
ただ、2人のその顔は曇っている。
学は上着をハンガーに掛けるよう勧め、ソファーへ案内する。
2人は緊張したように学やルークを見詰めたり、事務所内を観察している。
男性は時折、額に滲む汗をハンカチで拭っている。
「お茶は冷たい方がよろしいですか?」
莉央さんが訊くと、男性は頷き、女性は温かいもので、と答えた。
その言葉を聞いて、お茶を淹れてテーブルへと運ぶ。

