「ちょっと止めてよあたしの潤佳ちゃんに。セクハラで訴えるぞ」
「訴えるぞ」
潤佳ちゃんがあたしの口調を真似て言う。
一連の様子を見て莉央さんがクスクス笑う。
そこで事務所の電話が鳴った。
ルークが呆れたように一つ息を吐いて電話を取る。
「はい、宮間たんて――」
ルークが言い終わらない内に口をつぐんだ事にみんなが目を向ける。
「落ち着いてください。今はどこにいるんですか?……そこならこちらの事務所からも近いですね。駅の方に向かえますか?……一度電話を切って、携帯からかけ直します。そちらの番号は……解りました。私も今からそちらへ行きますから」
ルークは電話を切ると、コートを羽織ながら言う。
「大竹さんからだ。何があったのかよく解らないが、行ってくる」