次の日もその次の日も私は皇龍の溜まり場へ行った。


行ったと言うか行かされてた?

学校が終わるといつも悠が校門の前に居て、学校の帰りに溜まり場に行くのが普通になっていた。


悠が、校門の前にいると、女子がキャーキャーとかヒソヒソうるさい。

『キャー!悠様ー!』

とか

《あの女誰? 悠様の彼女?》

とか。

彼女じゃないよ?

ただの友達。

でも…友達って言う響きは、なんか違う…

これ、なんだろ…

「こい。」

ビクンっ!

え? 何?!

「来いって!」

気づくと倉庫に居た。

“恋”じゃなくて、
“来い”ね。

ややこしーなー、もーー!

「悠ー♡」

エリザベスが悠に飛びつく。

こんなのはいつものこと。

最初はかなりビビった。

でももぅ慣れた。

『悠はあげないからっ!』
って、エリザベスに前に言われた。

意味わかんない。

悠だって、私の事そんな風に見てないのに、エリザベスは意味不明だ。

「ねぇー♡悠〜♡」
エリザベスが悠になすりつく。

なんか胸がキューって締まって…痛い。

なんだろこれ…

その時、頭をよぎった言葉

“恋”

…。

私は小さく顔を横に振った。

「剛…エリザベス邪魔。
さやか、来い。」

と言って、私を総長しか入れない部屋へと連れて行った。

私の背後に殺気を感じるのは気のせいにしたい。

ーバタンー

ドアが閉まった。

実はこの部屋に入るのは初めてで、

なんかドキドキしてる。

この部屋には、ソファーが2つ

シャワー室

シングルベット



洗面台

冷蔵庫

がある。

家みたい…

住むには十分だよ。

「さやか」

切ない声で呼ばれた。

その声にドキッとした。

「な、なあに?」

悠の顔は、今にも泣き出しそうな顔だった。

そんな悲しそうな顔しないでよ…

「悠…どうしたの?」

優しく聞く。

「俺、我慢できねー。
こんな自分嫌になってくるよ。」

ハハッと笑っている。

「何が我慢できないの?」

私が全部受け止めたい…

悠の全部を…

「…俺……きだ。」

「ぇ? ごめん…聞こえなかった。」

「俺、お前が好きだ。」

さっきとは裏腹に、真剣な表情で言ってくる。

ドキッ。

私も…悠の事好きなのかな…

この気持ちは“好き”なのかな…

「返事…今度でいいかな…」

今は気持ちの整理がつかない。

モヤモヤしたまま、悠と付き合いたくない。


そんな、曖昧な気持ちで悠を受け入れたくない…

悠を傷つけたくない…

「分かった…」

私は部屋を出た。

「今日は俺が送ってくから。」
俊哉が言う。

「うん…ありがと。」


俊哉のバイクに跨る。

〜ブォォン。ブンブン〜

悠のバイクのエンジンとはまた違う。

そぅいえば、悠以外のバイクの後ろ乗るの始めて…

悠の後ろの方がいいなぁ。

悠の背中は暖かいから好き。

…。

私…悠の事ばっかり考えてる…。


もしかして、私、悠の事…

「着いた。」
俊哉が言う

「ありがとね。また明日ね」

おぅ。と言って帰っていく。

シャワーを浴びて、私はそのまま眠りに落ちた。