放課後、中庭で代夏と待ち合わせていた。

「やばい!遅れた」

部活が延長してしまった。約束した時間から随分経ってしまった。

中庭に走ると代夏は中庭の真ん中に立っている木の側に座っていた。

「ごめん、遅れた」

「ううん。私もね、さっき来たの。テニスの所をさらっと通ったら、張り切ってたからもう少しかかるかなって」

「さらっとって…」

来てたんだ。

「だから、一枚絵を仕上げてから来たの」

そう言って、昼に描いていたウサギの絵を見せてくれた。

彩色されていて今にも動き出しそうだ。

「今日は、色鉛筆じゃないんだね」

水彩絵の具も使えれるんだ。

「うん。今日は趣向を変えてみました」

乾くのにもう少し、時間がかかるんだけどねと、

代夏はパタパタと絵を扇いだ。