「おい。行くぞ」 痴漢野郎の言葉にハッと我に返る。 目の前に広がる初めての景色があまりにも綺麗で、私はいつの間にか足を止めていたみたい。 「あっ、ごめん」 「どうかしたか?」 「い、いや。綺麗で……初めて見たから」 「もう少し見て行くか?ここからの景色が一番だ」 私…… 痴漢野郎に何を言ってるんだろう。 しかも、痴漢野郎も優しい台詞なんか吐いてるし。 殺すかも殺されるかもしれない関係なのに。