体感スピードが物凄くて、腰に手を回しているだけじゃ体を支えきれなくなった私は痴漢野郎の背中に顔を付けた。 何事にも、あまり怖いと感じない私は、スピードに慣れ始めると、風をきる感覚が心地良いとさえ思ってしまう。 これから、私はどうなるんだろう? ウチに帰りたくないとは思っていたけど、こんな展開を望んでいたわけじゃない。 こんなことになるなら、“居場所”の誰かに連絡しておけば良かった。 今更、後悔しても遅いけど。