もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~



靴を脱がなきゃ、玄関からその先には進めないから、なんとしてでも靴を脱ぐことだけはは死守したい。



だから、爪先にはこれでもかってくらい力が入ってたのに、玄関と廊下との境目で私の体はフワリと宙に浮いた。



その間会話は交わされてなんかいないのに、リュウは脇を抱え、ジュンは靴を履いたまんまの足を持っている。



なんなの?!この二人?!



仲が良いとしか思えないような絶妙なコンビネーションは何?!



「亜美ちゃん、お邪魔するねぇ!!」



「あっ、リュウ君。いらっしゃい。純麗ちゃんも、ソファーにでもかけて」



「お、おじゃま、します」



お母様、私が運ばれてることには触れてくれないんですね……



ソファーに下ろされた時には、既に涙はひいていた。



「純麗ちん、顔ヤバイよ!!彼氏の両親に会うのに、その顔はなくない?!だから、薄化粧を進めたのに」



リュウへの攻撃のためのハデハデケバケバメイクが、墓穴を掘った。



左隣に座るリュウを軽く睨んだけど、効果なんてあるわけもなく、すました顔しながら、お母様が運んでくれた珈琲をすすってる。



「二人に意地悪された?男の子はいつまで経っても子供だから、ね、伸也さん」



ソファーにはリュウ、私、ジュンの順番に並んで座っていて、テーブルを挟んでその向かいには、素敵なオーラ全開のお父様が座っていた。




「あぁ、そうかもな」



えっ?!認めちゃう?!



私の両隣に座る輩はそうだとしても、イケメンで大人なお父様が納得しちゃうなんてビックリだ。



「純麗ちゃん、こっちで顔洗いましょう。それと、靴もね」



お母様は可愛らしく優しく言ってくれたけど、今の私は人様の家にお邪魔している格好じゃない。



むしろ、彼氏のご両親がいるご自宅にこんな格好でいるなんて……



慌てて靴を脱ぎ、お母様に誘導されて洗面所へとやってきた。



それにしても素敵なマンションだな。



「メイク道具はある?私ので良ければ貸すからね」



「あっ、大丈夫です。あります。ありがとうございます」



可愛くて優しい上に気が利くなんて、言うことなしのお母様だな。



「じゃあ、ゆっくりしてね。後で飲み物運ぶから」



「大丈夫です」って断ろうと思っていたのに、お母様はもう既にドア閉めて出ていった後だった。