見慣れない天井に驚いて体を起こすと、私の右隣にはジュンが規則正しい寝息を立てて、眠っていた。



そうか、私、昨日ジュンの彼女になったんだ。



昨晩のことを思い出すと、無性に恥ずかしくなる。



でも、この恥ずかしさが嬉しくもある。



だって、誰かとこうして朝を迎えることなんて、私の記憶の中では初めてのことだから。



誰かの温もりを感じて目を閉じて、誰かの温もりを感じて目を開ける。



こういうのっていいな。




「何にやけてんだ?」



“彼女”になったことよりも、乱れすぎた昨日の“行為”を思い出していた私に、右隣の“彼氏”が声をかける。



「起きてたなら言ってよ」



「今、言った」



寝起きのせいか、少し掠れた声に、またもやキュンとしてしまう私は、かなりおかしい。



「いてっ……痺れを通り越して、ダルい」



そう言いながら、左手を持ち上げるジュン。



ジュンの持ち上げられた左手があった場所は、私の枕元だ。



「腕枕……」



「一晩中はさすがに辛いな」



「ん……」



そっか、だから眠るときも起きたときもジュンの温もりを感じていられたんだ。



眠りに落ちる寸前、「いつも寂しい。一人で眠るのは寂しいの」と言ったか言わなかったかわからない言葉はジュンに届いていたのかもしれない。



「何、泣きそうな顔してんだよ」



嬉しかっただけ。



ただ、ジュンの温もりが温かすぎただけ。



ジュンが体を起こし、私を包むように抱き締めてくれた瞬間、私の携帯が音を鳴らした。



その音に体をビクつかせた私を、ジュンは一層優しく抱き締めてくれる。



ジュンの背中に手を回したかったけど、着信音なんて無視して、ジュンの胸に顔を埋めたかったけど、これはとーちゃんからだ。



私が唯一、指定着信音を設定してあるとーちゃん。



してなければ、なんて後悔は今更だよね。




「ジュン、ごめん。出なきゃ。無断外泊したから」



「親か?」



「ん……」



離してと要求したのは自分なのに、離されたことに寂しさを感じながら、携帯を手に取る。




「もしもし」