「それで、今日はどう思ったら涙が出てたの?」
自分の気持ちがわかりたくないなら、リュウに素直に話す必要なんてない。
そうすれば、ここで止めておけるんだから。
でも、私は喋り続けた。
素直に、本当に包み隠さず、リュウに話をしてしまう。
「突然、ジュンの態度が変わった」
「うん」
「もう二度と会わないって言われたの」
「それが悲しかった?」
私は首を横に振る。
「じゃあ、どうして?」
「ジュンが優しかったの」
「ん?」
「今までと違って、冷たい口調で……少し怖いくらいに感情が籠ってなくて……それなのに、優しかったの。ジュンが優しく微笑んで、ジュンの手がすごく、温かったの」
「純麗ちゃん、大丈夫」という言葉と共に、私の体はリュウに包まれていた。
リュウに体を預けると、柑橘系の香りが鼻を掠める。
リュウ、香水なんて付けてるんだ。
私も付けているせいか、普段は気付かなかった。
「純麗ちゃん。大丈夫だから泣かないで。ジュンはきっと誤解してる」
リュウの言葉に、顔を上げると、またしても涙がこぼれ落ちる。
私の涙がリュウの胸元にシミを作り、私はその丸く付いたシミに吸い込まれてしまいそうで、そっと手を当てた。
「あ、気にしないで。すぐに乾くよ」
「うん」
「こんなふうに泣かせちゃったのは俺のせいだね。でも、本当に大丈夫。ジュンは誤解してるだけだから」
リュウの言葉は耳に届いているのに、何故か体がフワフワとしているような感覚に陥り、言葉の意味を理解できない。


