その傷に、そんな過去が刻まれていたなんて…… 右肩から左腰にかけて、刃物で切り付けられたような大きな傷。 「どうしたの?」 と聞いていれば、もっと早くにわかっていた? そうすれば、私達の関係は変わっていた? 今になっても、肝心なことは聞けない私。 それはその瞳の奥を覗くのが怖いから。 出来ることなら、このままで…… 「お前を抱くたびに、この傷が疼く」 そんな言葉、聞きたくない。 胸がえぐられているように痛みだした。