幸せになる方法〜「ずっとそばにいたのに.....」スピンオフ〜

「おいっ、真由子! 」

「......航佑?」

「お前、熱あんだろ? 大丈夫か?」

「そう、みたい。ごめんね、迷惑かけて......。」

「いいから。しゃべんな。」

「でも、ホントにごめん。私.....。」

「もう、いいって。」

「ごめんなさい.....。」



涙を流す真由子を抱き上げて、すぐに部屋の中に運んだ。

ここに至るまでにいろんなことがあったはずなのに、そんなの、もうどうでも良くなっていた。



とにかく無我夢中だったから、細かいところまでは憶えていないけど、その時、ハッキリ感じた。

腕の中でグッタリしながら、謝るしかできない真由子は、俺のよく知っている高慢なお姫様とは別人だった。



何だか頼りなくて、放っておけなくて、見ていて切なくて、胸がいっぱいになって.......

この瞬間に、すべてのわだかまりは消えた。

言葉はなくても、今までのことが、全部許せてしまう気がした。