幸せになる方法〜「ずっとそばにいたのに.....」スピンオフ〜

三月の二週目に入る頃、いきなり冷え込んだ日があった。

朝から雨が降っていて、雪になるんじゃないかと思うくらい、空気が冷たい。



あったかいものが食べたくて、冷蔵庫の中に何があったか考えながらアパートに向かって歩いていると、ドアの前に女性らしき人影が見える。



.......真由子、なのかな?

雨で薄暗くなっているせいで、良く見えないのに、そう思った途端、胸が高鳴る。



会えたら話そうと思っていたのに、この尋常じゃない緊張感は何なんだろう。

心優と別れる原因になった日以来、まともに顔を見ていないんだから当然かもしれない。



それでも、早く声をかけたくて、真由子らしき後姿を確認しつつ、ドキドキしながら近付いて行った。

すると、俺の足が階段にさしかかる前に、ドサッと嫌な音がした。



見上げると、真由子らしき女性が俺の部屋のドアの前で座り込んでいる。

急いで階段を駆け上がると、その女性はやっぱり真由子で、顔面は蒼白、抱きかかえてみると明らかに体温も高い。