幸せになる方法〜「ずっとそばにいたのに.....」スピンオフ〜

もともとお菓子作りは大好きだし、料理も得意な方だから、料理教室のある日は、心優は朝から浮かれていた。

都市部で働く同い年くらいの日系人から地元のお婆ちゃんまで、いろんな人が来ているから、行く度に知り合いが増えるだけでも楽しいらしい。

お目にかかったことがないパイ料理が夕食に登場したり、何にでもメープルシロップをかけるカナダ人に合わせて大きなボトルが食卓に置かれるようになったり、こちらでの生活にどんどん馴染んで行くのが手に取るようにわかる。

環境順応性の高さには、尊敬の念すら感じる。



自然な流れで俺が海外赴任を決めたのも、唐突に心優が付いて来ることになったのも、もしかしたら生まれる前から決まっていた運命なのかもしれない。

まったく知らない土地で二人きりなのに、こんなに順調に幸せに過ごせていることを考えると、そう思うくらいだ。