幸せになる方法〜「ずっとそばにいたのに.....」スピンオフ〜

小雨の中、はるとをおぶって、彼女と並んで歩き出す。

これで少しでも彼女の役に立てているなら嬉しいし、俺自身も楽しい。

子供がいる空間って、こんなに気持ちが和むものなんだ.......



「.....ありがとうね、横森君。」

「あ、違うよ。今日から、俺、友くんだから。」

「へ? 私も?」

「丁度いいじゃん。店で俺のこと、『横森君』って言うの、田中さんだけでしょ? みんな『友哉』って呼んでるんだから、そうしてよ。」

「じゃあ.....うん。」



どさくさに紛れて、前から気になっていたことを言ってみた。

店長がいつも大声で「友哉」って呼ぶせいで、うちの店のメンバーは年下の奴まで、あだ名のごとく俺を下の名前で呼んでいる。

だから、いつまで経っても「横森君」って呼ばれるのに、ちょっとだけ壁を感じていた。

彼女にも早く下の名前で呼んでもらえるといいなと、前から思っていたところだった。



はるとがいてくれたおかげで、いい感じに彼女との距離がまた縮まった。

気にしていれば、意外とチャンスって転がってるもんなんだな。



って、だから、俺は彼女をどうしたいんだ?

仲良くなりたいとは思うけど、それってどういう感情なんだろう.......