幸せになる方法〜「ずっとそばにいたのに.....」スピンオフ〜

「あっ、お疲れ様。休憩?」

「うん。田中さんは、保育園の帰り?」

「そう。雨、降って来ちゃったから歩いて行ったんだけど、グズちゃって、手こずってるところ。」

「そっか、雨だから歩きたくないのかな?」

「違うの。昨日、一日、私と一緒にいたからだと思うんだけど、保育園に行きたくないって、今朝、泣いてたの。でも、頑張って行ったから、何かご褒美買ってもらえると思ってたみたいで.......。」

「ご褒美?」

「うん。前に同じようなことがあった日に、たまたま母が来てて、頑張ったからご褒美って、ここでミニカー入りのチョコレート買ってくれたの。だから、今日も買うんだって聞かなくて。」

「そうか........。」



さっきから、下の方から強い視線を感じる。

見下ろすと、泣きわめいていた男の子が黙り込み、ポカンとした顔で俺を凝視している。

ママと話してるこいつは誰なんだ?

そう書いてあるみたいな丸い顔がすっげー可愛くて、思わず顔がほころんでしまう。



「こんにちは。僕のお名前は?」

「.....はると。」

「はると君?」

「うん。」