幸せになる方法〜「ずっとそばにいたのに.....」スピンオフ〜

「グチャグチャになっちゃった?」

「うん。でも、味は変わんないだろ。」



起き上がり、不安そうに見つめる真由子の前で、一切れ、口に入れてみる。

形は崩れちゃってるけど、味はまあまあだろう。

料理とは無縁だった真由子が作ったにしては、かなりの力作だ。



「美味いじゃん。」

「ホント?」

「うん。ずいぶん、頑張ったな。」



真由子の顔がパっと明るくなる。

嬉しそうな笑顔には、前みたいに挑戦的で尖った部分が感じられない。

今回のことがあって、真由子が素直な性格にどんどん変わって来ているのがわかる。



「私ね、心優さんになりたかったの。」

「.......。」

「いつも、ここに来る前、スーパーで買い物して、笑顔でカギを開けて入って行く心優さんが羨ましかった。」

「.......。」

「何にもできないくせにワガママばっかり言ってる私と違って、何でも出来る優しい心優さんに憧れてた。私といる時よりずっと、航佑が幸せそうだったから。」

「.....そう、なんだ。」