幸せになる方法〜「ずっとそばにいたのに.....」スピンオフ〜

真由子はゆっくりと布団を下げて、潤んだ目を見せた。

何だか幼くて、頼りなくて、儚げで.......

今、俺がこいつの手を離したら、どうなっちゃうんだろうなんて、つい思ってしまう。



「あ、ねぇ、今日じゃなきゃ、ダメだったの?」

「え?.....あぁ、うん。」

「こんなに熱あるし、昼間から体調悪かったんだろ?」

「わかんなかった。夢中だったから。」

「マジ?」

「やっと、上手にできたから。」

「何が?」

「かぼちゃの煮物。」

「えっ? うそ?」



って、ことはもしかして..........

慌てて部屋の外に出てみると、予想通り、ドアの前には小さな紙袋が横たわっていて、中にはかぼちゃの煮物らしき黄色い物体が入ったタッパが見える。

出してみると、残念ながら、落とした衝撃のせいか、原型を留めていないようだ。



でも、それを見て、思わず顔がほころんでしまう。

あの真由子が、自分の体調も省みず、懸命に煮物を作っていたなんて。

俺なんかのために、そこまで必死になれるものなのかな.......