なぁ?お前が家を飛び出して、冷静になるまで何分ぐらいかかったかなぁ。

俺はあわててお前を追いかけたんだ。

どこにいるんだ?
必死で探したよ。

お前を見つけたのは

大勢の人だかりの中だったよ。

あわててお前にかけよって、さっきまでの自分を死ぬほど後悔したんだ。

すぐに追いかけていれば!
あんな事を言わなければ!
そもそも、喧嘩なんかしなければ!

お前は今そんな事は思っていないだろ!?

俺と出会わなければ!
俺と結婚しなければ!

そう思われても仕方ないよな!?

俺も一瞬思ったよ。
俺なんかと一緒になってなかったら、お前はもっと幸せだったんじゃないかって。

俺は泣きながら、お前を抱き抱えたんだ。

必死で助けを呼んだよ。

しばらくすると、サイレンが近づいてきてたよ。

「急に飛び出して来たんだって!運転手さんもかわいそうに。」

人だかりの中から聞こえてきたんだ。

一番かわいそうなのはお前だよな!?

でも、悪いのは運転手でも、お前でもない。
守らなければいけない者を守れなかったこの俺だ!




お前は、ベッドに横たわり、身体中に痛々しいほどの管がつなげられてる。

お前の父ちゃんも母ちゃんもいるぞ?

「今夜、持つかどうか・・・。」

そう言われたんだ。
あいつ、なに言ってんだろうな!?
俺の横にお前がいるのが日常なんだ、当たり前で、普通の事。

お前がいなくなるなんて考えられない。
考えたくない・・・。

「頑張れ!」

お前の母ちゃんも言ってるぞ!
ほら、頑張れよ!
ほら、頑張ってブサイクな笑顔を見せてくれ!



俺、間違ってないか?
お前は、頑張りたいのか?

こんなに、こんなに苦しんでいるのに、頑張って息をしようとしている。お前は、もう十分頑張ったよな!

俺はお前を頑張らせたくないんだ。

ただ、いつも俺の横で笑っていて欲しい。
ただ、それだけなんだ。
その笑顔が、ブサイクでもいいんだ。
苦しそうな顔、させたくない。




「頑張らなくていい、無理しなくていい。疲れたら休めばいいよ。」



お前は、少し笑った気がしたよ。

同時に、お前は俺の横からいなくなった。

でも、必ずいつかお前を迎えに行くから!
お前のいる場所は、分かってるんだ。