今日は俺の卒業式だ。

尚が無事に男の子を
出産したのが四ヶ月前だった。

勿論、立ち会った。

名前は悠斗にした。

単純だが、俺と尚の名前から
一字ずつ取って付けた。

四月から社会人になる。

尚は出産した後、
一週間くらいで
大学に復学した。

専ら母親二人が
面倒をみてくれている。

これは、おばぁちゃん子に
なるだろうなぁと尚が
苦笑いしていた。

父親はあまり孫に近づかない。

**半年後**

俺は尚と架凜さんの
家に引っ越していた。

理由は言わずもがな
父親が居るからだ。

悠斗にとって少しでも
いい環境で育てたい。

残念ながら、うちは
“いい環境”とは言えない。

母さんはいいが、
やはり父親が問題だし、
悠斗も解るのだろう。

父親が居ると大泣きする。

そんなことで、俺が
尚ん家に住むことになった。

泊まりに来てたのが
永住することに
なっただけだから
問題はない。

母親二人に
支えられながら悠斗を
育てて行きたいと思う。

**五年後**

悠斗は五歳になり
幼稚園に通い始め、
一年程経ったある日
他の保護者たちが言ってるのを
聞いてしまったらしい。

俺と尚の関係はおかしいと……

終いには貰い子
なんじゃないかとまで
言ってたらしい。

確かに俺たちは“同性”だが
間違いなく悠斗は尚が産んだ。

しかも、そんな話を
子どもの前でするとは
どんな神経をしているんだ……?

話していた保護者たちは
恐らく悠斗が聞いてたとは
思ってもいなかったのだろう。

そうじゃなきゃ、
無神経にも程がある……

この頃の子どもは
傷付きやすく精神的にも脆いが
同時に大人の
あれこれに機敏に反応する。

「悠斗、確かに、うちは
少し変わっいるが 他の人の
言うことは気にしなくていい。」

尚が悠斗の目線まで屈み、
真っ直ぐ目を見て諭すように話す。

日本ではまだまだ
偏見がある“同性愛”

そして、尚のような
特殊体質があまり
知られていないのも事実だ。

だけど、俺たちは幸せだ。

俺の父親は別として
母親二人はあの頃から
俺たちの味方だった。

高校時代には莉央ちゃん、
彩葉さん、早川先輩
稲見先輩も皆味方だった。

まぁ、今も色々
相談にのってくれたりしている。

「そうだぞ悠斗、うちはうち。
だから、なに言われても気にするな」

この分だと悠斗が
進学する度に言われるだろうが
俺と尚は正真正銘の
“ふうふ”であり、
悠斗の実の両親だ‼

「分かった」

五歳の悠斗には
難しいかもしれないけど
何とか頷いてくれた。

高校生くらいになったら
尚の特殊体質とか色々と
説明しようと思う。

**更に二年後**


悠斗は七歳になった。

「お母さん、いつ産まれるの?」

そう、尚のお腹には
新しい命が宿ってる。

「来年の春頃だよ」

俺は
男前な奥さんと悠斗
そして新しい命と共に
色んな人を助け、
色んな人に助けられ
守り、守られながら生きていく。

俺たちの愛は永遠に……