●●裕賀Side●●


40分ほど前…


生徒会の仕事、見回りで1年の教室を回っていたところ。


教室の後ろの方で人影が見えた。


「早く帰…」


声をかけようとしたところ、その子が寝ていることに気がついた。


そして起こすために近づいたところ…


「うわ…」


そこに寝ていたのはおもわず声をあげるほどの美少女。


ダメージ1つないさらさらの黒髪に、厚すぎず薄すぎないぷるぷるの唇。
まつ毛は顔に影をつくるほど。
小さい面積の顔に人形よりも整ったパーツがつまってる。


よく見ると、どこかで会ったような…?



ーかわいい。


そんなこと思ったのは従姉妹の女の子が産まれたとき以来だったと思う。


俺は…自慢じゃないけどモテる方で、女には困ってなかった。

黙ってればあっちからよってくるし…



初めてかもしれない。

女の子と親しくなりたい、と思ったのは…。



それから横の机に座って起きるのを待った。


30分ほどしてから起きた。


まだ俺が見えてないみたい(笑)



ゴシゴシ目を擦って時計を確かめている。


そして「春っていいねぇ~♪」と独り言。

なんで気づかねぇの(笑)


だから俺はその子に返答した。



ガタタッ…


すごい反応のしよう。


「に、新寛先輩!?なんでここにいるんですか!」


名前覚えててくれたんだ…

かるく感動。


その後少し言葉を交わした。


会話出来たことが嬉しくておもわず笑顔になってしまう。

…恥ず。



するとどこかへ行こうとする目の前の女の子。


まだ名前も聞いてないのにっ…!


とっさに手をつかんでしまった。


「だーめ、いてよ。」


大体の女の子は顔を赤くするであろう、妖艶な笑みを浮かべて言った。


だが…


「いえ、行きます。」


…は。




“驚愕”


今の俺を表すのに最もふさわしいと思う。

あんぐり口を開けて目を見開く。


間抜けな顔だろうなぁ…


そんな思考もぶっ飛んでたけどね。


そして教室を出ていく女の子。


声をかけようとしてももう遅かった。


クソ…初めてだ、あんな女。


すっごい美少女でスタイルも良くて、俺の誘いにも全く動じず即答で断られた。



その時俺の中では


産まれて初めて


異性に対する独占欲がわいた…



「手に入れる…」


誰もいない静かな教室でそう呟いた。