ふわっ…



桜が舞い、

薄ピンクの花びらは音もたてずに地面に積もる。



それを横目で見ながら、学校へと足を進める。



私は小野原結華(おのはら ゆいか)。



4月6日



やっと憧れの高校に通えるんだッ…!



そう、今日は入学式。



お母さんはあとから来るみたいで一人で向かってるんだ。



この角を曲がると学校が見える!


そう思うと、私の足は少し早歩きになった。



中学からずっと憧れてきたんだもん♪



私立松浦高等学校!



見え…ドンッ



「ったた…」


なんだか男の人とぶつかった。


なにこの古い少女漫画によくあるパターンは…!


でも倒れてるのはあっちの男の人。


普通逆じゃーん!


…って、そーじゃなくて



「すいません!大丈夫ですか?」


男の人がこっちを向く。



おー、世間一般で言うイケメンってやつか。


さらさらの黒髪は眉の下あたりで整えてある。
筋のとおった鼻と漆黒の瞳。


私は男の人に興味は無い。てか、恋愛に興味がない。
だから別にどうこうするわけでもなく腕をつかんで立たせた。


わぁ、大きい。


私の身長が165㎝あって友達の中でも高い方なのに、その男の人の顔はさらに上。

んまぁ…180㎝くらいかな?


「ありがとう。こちらこそごめんね。」


ふと、服を見ると松浦高校の制服だった。


…あ、同じ学校なんだ。


先輩かな?ま、いーか。


「いえいえ、大丈夫です。」


そしてかるく会釈して再び学校へ向かった。