「――はい、OK!」
カメラマンの声を合図に、
名取さんがガウンを手に走りよってきた。
「おつかれさま」
あたしの肩にガウンをかけてくれる。
この長身の男性・名取さんは、
真面目で面倒見が良い、あたしのマネージャー。
黒い短髪で、
いつもきちっとスーツを着込んでいる。
年齢が5,6歳しか違わないから、お兄さん的な感覚で、あたしはいつも頼ってしまっている。
その名取さんが、
「カメラマンの言うこと、真に受けないようにね。恋愛は、しなくていいからね」
あせったような顔でそんなことを言ったので
「はい、はい」
と、あたしは苦笑しながら、そう返した。

