テーブルで囲んだお鍋が、ぐつぐつと音をたてていた。


「お肉も沢山あるので、どんどん食べてくださいね」


ママが、次々に材料を投入する。


「それにしても、事前に言ってくれればもっと手の込んだものを作ったのに、まりちゃんったら突然電話してきてお客様を連れてくるって言うんですもの。簡単なお鍋でごめんなさいね」


ママがそういうと、麗華さんが

「いいえ、とても美味しいです」

と答えた。


「今日は、お鍋が良かったのよ」


あたしが言うと、ママが「そぉ?」と首を傾げた。


司に、「お母さんと一緒にお鍋」を経験させてあげたかったんだもの。

ちょうど良かった。