しばらくして、ようやく涙が止まったあたしは、血だらけのシャツを着たままの司をあらためて見た。


「ほんとにリアルで、すごいだろ。この血」


「うん」


その血を見ているうちに、ふと、一つの考えが思い浮かんだ。


「ねぇ、司。あたし、一つ実験したいことを思いついた」


「何?」


「そのまま、もう一度さっきの場所で死んだフリをしてくれないかな」


「何のために?」


「実験って言ったでしょ。
司は、何があっても絶対に、あたしがいいって言うまで、死んだフリを続けて。
俳優生命をかけて、死人役に徹して」