「そのとき、あたしと弟と、どちらを連れて行く?」


「もちろん、まりちゃん!
って言いたいけど……
6歳の子と1歳の子がいたとしたら、より母親が必要なのは、1歳の子の方だと思う。
もちろん、ママはまりちゃんが大事よ。
離れたくないわ。
でも、1歳の子を置いてでていくのは、難しいわ」


「じゃあ、ママがあたしを置いて、1歳の子を連れて出て行ったとして。
19歳くらいになったあたしを見て、自分の子だって気づけると思う?」


「そうね……赤ちゃんのときに別れたとかだったら、分からないかもしれないけど
6歳まで自分で育てた子なら、大きくなって会っても、分かるような気がするわ。
面影があるだろうし」


「ふーん」


あたしは、お土産のクッキーを見つめながら

「そうだよねぇ」

とつぶやいた。