「――拓也がいなかったら、あたしは自分の未来を夢見ることもできなかった。絶望の淵から救い出してくれたのは、拓也なの。あたし、拓也が好き。ずっと、拓也の隣で生きていきたい」
夕暮れの浜辺で、美羽が拓也に告白をする。
拓也は何も言わずに、美羽を抱きしめて。
「俺も、ずっと好きだった」
そして二人は、夕日をバックに――
「カット! はい、OK」
監督の合図とともに、キスシーンの撮影が終わった。
「おつかれさま」
司がそう声をかけてくれ、あたしは照れ笑いを返す。
「まりんちゃん、よくがんばったね」
何も知らない名取さんが、気をつかってくれた。

