――昨日部屋に戻るとき、泣いているところを沙織さんに見られたんだった。 沙織さんは、 「良かったら話聞くわよ?」 と、優しい眼差しを向けてくれた。 そのすぐあとに、 「あ、でも、話しながらまた泣いちゃわないでね。これ以上目がはれちゃったら、困るものね」 と冗談っぽく笑って、しめっぽい空気を吹き飛ばしてくれた。 「何から話せばいいのかな……」 あたしは、窓から空を見上げた。