「良くん、ありがとう。
本当はね、ほんの少しだけ、揺れたよ。
だってあたし、ずっと大好きだったんだもん。
良くんのこと、大好きだったの」


「……でも今は、そうじゃなくなっちゃったんだよな」


「ううん、今だって、大好きだけど」


「ん? 大好きってことは、やっぱり僕と付き合う?」


「いや、幼なじみとして大好きって意味」


「ちぇーっ」


良くんは大げさにボヤいたあとで、


「でもいいや、俺もまりちゃんのこと、大好きだから。一生大好きな幼なじみだよ」


そんな言葉をかけてくれた。



穏やかな秋風が、

あたしたちの周りを、

優しく吹きぬけた。