「ずーっと……良くんに、そうやって、歌っていてほしいな」
そんな願いを口にするあたしの手を、きゅっと握りながら、
良くんは、天使の笑顔を向けてくれた。
「歌ってあげるよ。まりちゃんがして欲しいことなら、なんでもしてあげる。そうだ、僕、歌手になろうかな」
「でも、良くんはお医者さんになるんでしょ?」
お医者さんになって、あたしの喘息をいつか治してくれる、というのが、良くんの口癖でもあったのだ。
「じゃあ、お医者さんになって、歌手にもなる」
「あはは、ほんとに?」
「うん。まりちゃんがして欲しいことなら、なんでもしてあげるって言ったでしょ」

