「お、シュートきめてるぜ、王子様」


それと同時に、喉から悲鳴が漏れた。
男はあたしを笑う。

「…遊ぶな」

上体を起こして、窓の外を見遣る。

男は相変わらずあたしの後ろについている。


今日もすてき。

あたしは恋をしたばかりの少女みたいに、仲間とハイタッチをしている彼を見下ろした。

あぁ、小さいけど、これで十分だわ。
見下ろせるだけで、満足だもの。

純粋にすきなの。

汚れを知らない、彼がすき。


そんなきれいすぎる彼に、あたしが恋をしていいわけがない。

「っ…」

窓に張り付きながら、だれもいない理科室で嬌声。
じんわりと毒が広がる。

罪悪感。にがくて、あまい。あたしはすきよ。

「いいこえ」


彼だけを見て、あたしはおかされる。

汚れしか知らないあたしは、これが1番の純愛。

1番まともな恋愛方法。


後ろの彼も愛している人がいながら、まっすぐに、馬鹿みたいに純粋に性欲を求めて、今の彼ができている。

あたしは変わらず、グラウンドの彼に視線を落とす。


かれにだかれているような、そんな錯覚がすきでたまらない、そんなあたし純愛。