「えっと…あの」

凛は戸惑いを隠せない。


突然入ってきた男性は、いまだにパニックになっている凛に近づき、ソファーに座った彼女の前にひざまずいた。


そして、彼女の手をそっととり……手の甲にキスをした。


「な…!?」


赤くなった凛に、からかうように微笑みながら、彼女に向かいあうようにソファーに座る。



「……あの…一体どちら様でしょうか…」


散らかった進路指導室で、対峙する男性。


「あぁ、そうだね。君とは初対面だ………」
コホン、と短い咳をして、彼は口を開いた。



「聖ルルージュ学園の理事長、黒崎 アキラです。よろしくね」