そして来たのは教室。

「…いない、な」
「…ん?岩瀬さん?どうしたの?」

俺に気づいたらしい陸のクラスの女の子が話しかけてきた

「…ぁ、陸知らない?」
「月影くん…?
月影くんならさっき図書室にいったよ?」

月影と言うのは陸の名字。
大体は女子に聞けば陸の居場所はわかるだろう
陸はモテるからな…整った容姿をしているし…優しいらしくかなりモテるらしい。
というか…陸が図書室?

「図書室?珍しいな…ありがと」
「いいえー」

そんな証言のもと、図書室にいくと

「…本当に居た…」

本当に陸が居た…
…女子からの注目を浴びて。
優しいねぇ…俺に対する優しさなんて微塵も無いのだが。

「…ん?命。
何しに?」

いや、お前がここで何してんだ?
そんな言葉を飲み込み、用件を伝える

「また面白いウワサが入ったからさ」
「…嫌だぞ、オレは」

陸があからさまに嫌そうな顔をして言う

「えー、この学校のウワサなのに」
「尚更嫌だな」

いや、無理矢理連れてくけどな?

「大体ッ、オレは明日試合なんだ。
どうせ、また泊まりこみで検証するぞとか言うんだろ」

若干怒ったように陸が言う。

「あ、バレた?」
「本当に言うつもりだったのか…」

今度は呆れたような顔をする

「感情豊かで忙しいな?お前は」

馬鹿にしながら言う

「誰のせいだっ⁉︎だ・れ・の!」

陸に額を軽く小突かれる

「あぅっ…痛い」
「え、そ、そんな痛かったか?」
「痛かった」
「…ごめん」

まさかこんな痛がられるとは思っていなかったのだろうか。
…ガチで結構痛かったぞ

「って事で…陸」
「え」
「ウワサ検証…付き合えよ」
「…え、えええぇ!?」

なんてマヌケな顔してんだこいつは…

「だって、俺痛かったし?
俺にこんな事したんだから…
ね?」
「…はぁ、分かったよ…
けど、今日はやめろよ、明日にしろ」
「…え〜…ごめん…」

俺が不満を口に漏らすと陸はなぜか首筋にカッターを当ててきやがりました
…酷くね?

「酷いな…てか物騒だっ」
「ちょ…っ」

…一気に俺に注目が集まる
ただでさえ、陸と一緒にいる事で注目があったのに。

「…だから言ったのに…」

陸が呆れたように呟く…
そう、ここは図書室。
静かな空間だったから普通の声で喋るだけでも大分注目を集めるのだ

「す、すいません…」

俺はとりあえず謝り、陸の横の席に座る

「あれ、誰?」
「かっこよくない⁉︎」
「月影様の友達かなぁ〜??」

…なんて声が聞こえる。

…1年生か。
俺達の学校は少し変わっていて、学年ごと特別教室の座るところが決められているのだ。


この図書室は
右が1年生、真ん中が2年生、左が3年生となっている。

…というか、俺の事か…?
俺、一応女なんだけどな〜…
ま、今は男装してるけど

てか眠い…

「陸…おれ、ね…る…zzZ」
「え!?おい!起きろ命!!
命!おいっ!」

ベシッという音が響く

「い、ってぇぇぇっ
てめ、今手加減無しでやったな」

いきなり殴るとか酷いわー(棒)

「わ、悪い、つい」
「つい、じゃねぇよ…
お前の結構痛いんだからさ」
「はいはい」
「酷ッ」
「…ところで、俺はもう帰るが…命はどうする?」
「…帰る」