君想い【完】



朝から少し食べ過ぎるくらい食わされ、食べた分だけ喜ぶ母さんに見送られて家をでる。

毎日変わらない日常。



「おはよう。」

そして、昨日は壊れてしまった僕のもう一つの当たり前だった日常が戻った。

玄関を開けると、愛らしいさりちゃんが立っている。
この朝の挨拶に笑顔が付いてきたら、僕はどんなに幸せだろう。


毎日変わることのない学校までの道のり。

ゴミを捨てる近所のおばちゃんが笑顔を振りまいて挨拶をし、
社会人になった近所のお兄ちゃんが自転車を飛ばしながら蹴りを入れてくる。

中町の住宅街を抜けると、僕とさりちゃんが小さい頃よく遊んだ公園がある。

その公園を抜けるのが、学校までの近道だ。

春は桜が満開で、午後は子どもの笑い声が溢れている。

隙間だらけの木を覆うように青い空が広がって、冷たい風が吹くと散ってしまった葉っぱ達が音を奏でながら空へ舞う。

僕はここが好きだ。
たぶんさりちゃんもここが好き。

たまに辺りを見回しながら優しい目をしているときがある。