君想い【完】



僕は思わず口を閉ざした。

黒やちょっと派手めな紫、余分なものが一切無い大人っぽく統一された部屋にぴったりの雰囲気を漂わせる麗。
何度麗を見ても、さりちゃんと同じ空気を感じる。


いや、さりちゃんより少しやばい空気を感じる。

どっかで味わった、そんな空気だ。

怖いくらい冷静で、口の端で笑って、目が笑っていない。

麗と話すのに一つ一つ言葉を選ばなきゃいけない。
そう感じさせる。

「好きだよ。」

「そう。じゃあさりなの事を考えてこれ以上深入りしないであげて。あたしから言えるのはそんだけ。」

「麗は、さりちゃんの何?」

「友達っていうか共同体みたいな感じ?あたしにはさりなを守る権利がある。さりなは今あたしを必要としていて、あたしはそれを答えてあげなきゃいけない。」


言葉を詰まらせることなく、淡々と答えていく。