「悪いけど、さりちゃんの友達っていう事が信じられないんだよね。あんた明らかに怪しいよね。周りにいる人とか、格好とか。さりちゃんの何?」
「純!麗は友達だよ。どうしたの?今日の純なんか変!すごく怖い。」
「さりちゃんに聞いてないんだけど。」
「純ちゃん、ちょっと二人で話さない?」
「だって。さりちゃん席はずしてくれる?」
不機嫌な顔でさりちゃんは立ち上がった。
わがままで自分主義で、人の言うことなんか聞かないさりちゃんが素直に立ったことに、僕は驚いた。
麗はオレンジのフィルターに口を付け、銀色のジッポで火を付ける。
そのまま手にしていた赤いマルボロの箱を自分の鞄の中に軽やかに放り込んだ。
いつもお香を炊いているココナッツの香りのする部屋に煙草の匂いが充満する。
鞄から携帯灰皿を取り出し、細やかな灰たちを捨てていく。
先に沈黙を破ったのは麗だった。
「幼なじみって生まれた頃から一緒?」
「そう、誕生日も近いし。」
口を少し細め、眉間にしわを寄せ、肺の中まで入れた煙をゆっくり吐き出す。
その姿はとても同じ年には見えなかった。
「純ちゃんは、さりなの事が好きなの?」


