その場で誰もが泣き崩れた。
僕は目に涙を溜めながら、祥吾の口に繋がれ続けていた人工呼吸器を取った。
口の周りにテープの後が残っている。
もう肌が冷たい。
体温が感じられない。
祥吾が去ったことを実感させられる。
「さりちゃん。」
泣き崩れるさりちゃんの体をゆっくりお越し、祥吾へと向ける。
一番最初に人工呼吸器を取ったのには理由がある。
みんな涙は流していたが、声を上げて泣くのを一瞬止めた。
「祥ちゃん。大好きだよ。バイバイ。」
ゆっくり体を倒し、
冷たい体温のない唇に
さりちゃんのあったかい唇が重なった。
どんな結婚式の誓いのキスより、
映画のラストシーンのキスより
ドラマの最終回のキスより、
綺麗だった。
時間が止まったみたいな感覚だった。
あの瞬間だけ
2人は中学生に戻っていた。
そのまま椅子に座り、さりちゃんは涙を流しながら微笑んだ。


