「純!祥吾は?」
最後の診察を終えて、僕が廊下を歩いているとトシの声が廊下に響いた。
急ぎ足でトシと病室に向かう。
そろそろ時間が来てもおかしくない。
「香代を待ってるんだよ。ちゃんとみんなに見守られてお別れしようと思って、祥ちゃん最期の力を振り絞って頑張ってるんだよ。祥ちゃん頑張って。」
さりちゃんが強く手を握り締めている。
「ねえ、さりちゃん大丈夫?」
汗をかいて顔色の悪いさりちゃんは今にも倒れそうだった。
「おいで。」
祥吾から手を引き払い、隣の空いている病室に一度寝かせた。
もうさりちゃんは臨月に近い。
苦しくて当たり前だ。
精神的にも不安定だし、
子どもにも影響がでる。
「大丈夫?」
「うん。お腹の中の祥ちゃんもあたしの弱さに負けないようにさっきからお腹蹴るの。この子はすごく強い。純にそっくり。」
子どもの話をする幸せそうな笑顔を見て少し安心した。
タオルで体の汗を拭き取り、
冷たいタオルを首元に置いてまた病室へ戻した。
香代が来るまで祥吾が頑張ってくれるか、
時間の問題だ。


